【旅行記】秋田・岩手鉄道ぶらり旅~北上線の普通列車で横手から北上へ~

前話
 
 秋田・岩手鉄道ぶらり旅の2日目は、早朝から秋田~男鹿間を男鹿線で往復。その後奥羽本線の普通列車で横手まで移動してきた。横手からは秋田県最後の未乗路線、北上線に乗車し、奥羽山脈を越えて北上へ向かった。

かまくらと焼きそばで知られる秋田県南の中心地”横手”

 横手には11時32分に到着したが、次の北上線の列車は14時15分発と、ここでは約2時間45分の待ち合わせとなった。2本後の列車でここへ来ても乗り継げるのだが、直前だとボックスシートは埋まっているはず。さらにその一本前は乗り継ぎ時間が1時間しかなく、逆に観光する時間が短いので、いっそのこと乗り換え時間を長めに取ることにした。この日は北上線で北上へ行って、その後東北本線で盛岡へ行くだけなので、何も急ぐ必要はない。
 朝訪問した男鹿駅、そして昨日訪問した羽後本荘駅と同じく、横手駅も比較的新しい駅舎だった。秋田県内陸南部の中心都市である横手市は約7万8千人の人口を有し、秋田県では秋田市に次ぐ、第二の都市規模を誇る。
 駅は東側が市内中心部に面していて、駅前にはJAの施設とホテルが一体となったビルと、モダンな図書館が建っていた。また、1日目に秋田-本荘間で乗車した羽後交通の横手ターミナルもその図書館の裏にあった。この横手バスターミナルは一円の交通ターミナルになっていて、各地への高速バス・路線バスが発着している。1日目の記事で先述した通り、羽後交通は横手と本荘を鉄道で結ぶ予定だった横荘鉄道をルーツにもつ。現在も本荘への路線バスが走っていて、ここから本荘へも抜けることができる。一方、西側はロードサイド店舗が並ぶ国道に近く、地方の駅では珍しく、スタバやマックが徒歩数分の場所にあった。
 横手は、秋田駅の発車メロディーにもなっている「明日はもっといい日になる」などを代表曲にもつシンガーソングライター、高橋優氏の出身地である。筆者も少し前によく聞いていたので、馴染みがあった。「誰が為に鐘はなる」とか「雑踏の片隅で」、「靴紐」あたりが好きで最近も時々聴いている。駅には2016年にここで開催されたライブのポスターが飾られていたり、メッセージノートが置かれていたりした。まさに地元大スターとして扱われていた。
 
 駅周辺に有名な観光スポットはないが、駅から少し歩いたところに、この地の名物である”かまくら”が展示してある場所があるらしい。市内を散策するのにちょうどいい距離だったので、ここへ行ってみることにした。
 駅から北の方へ歩いて行くと、市内を東西に走る大きな通りへ出た。道を渡った先には小さな公園があり、植えられた桜が満開になっていた。市役所の近くにある光明寺街区公園は、この地の桜の名所の一つになっている。また、冬に行われる「横手のゆきまつり」では、かまくらや雪像が公園内に多数設置され、開催期間中は多くの人で賑わう。平日の昼間だったこの日も、何人かが桜を楽しんでいた。自分もそれに混じって、しばらく桜を眺めていた。
 
 その公園の先に見える少し年季の入った建物が、横手市の市役所本庁舎と、この時期でもかまくらが展示されているという、ふれあいセンターかまくら館である。春なのにかまくらが展示してあるというのはどういうことかというと、施設内に冷凍庫があり、その中にかまくらが保存されていて、中へ入ることができるという仕掛け。早速中に入ると、お土産が売られた売店がある。そこにいる職員に声を掛けて中へ入った。入場料は100円で、このかまくら展示の他、少し離れた場所にある後三年合戦金沢資料館や横手公園展望台などにも入場できるようだった。他の観光施設は車でないとアクセスが難しいので、今回はここだけの訪問となる。
 
 中へ入るとガラス越しに立派なかまくらが展示されていた。もちろん冷凍庫の中にも入ることができる。扉は二重になっていて、手前のドアが閉まってから2つ目のドアを開けないといけない。中はマイナス10℃に保たれていて、とても寒い。この時期でも外との温度差は30℃くらいある。雪国に雪の季節に行ったことはほとんどないので、かまくらを目の前に見るのも、これが初めてだった。
 
 かまくらの中にも入ることができる。中へ入るとひんやりしているものの、雪の壁で寒さも少し遮断されているような感じがした。かまくらの中には神棚があり、神様が祀られている。調べたところによると、祀られているのは水神様らしい。この地は度々水不足に苦しんできた。そこで冬になるとかまくらを作って水神様を祀り、夏の豊作を祈っていたそうである。男鹿半島のなまはげ、秋田内陸鉄道沿線のマタギなどなど、秋田県にもいろんな文化があるが、横手のかまくらもまたこの地の有名な文化の一つになっている。
 
 かまくらを見学した後は、別ルートで横手駅前へ戻った。まだ時間があったので、気になっていた駅前の図書館へ行ってみた。正式な施設名を「横手市生涯学習館 Ao-na(あおーな)」というこの施設は、2024年9月に開業した新しい横手市の施設で、図書館のほか講演会を開催できる多目的スタジオや、アクテビティやスポーツを楽しめるアクティブエリアなども併設されている。2階は一般図書、3階が児童図書コーナーとなっていて、落ち着いた雰囲気の中で読書を楽しめる。昨年開館したばかりの施設とあって、まだ館内も真新しかった。
 
 図書館スペースも撮影可能だったので、読書している人の迷惑にならないように心がけながら、少しだけ撮影させてもらった。テーブル席やカウンター席のほか、リビングルームなども設置されており、自分の好きな場所で読書に没頭できる。筆者も学生時代に列車本数の少ない路線を利用していて、乗り換えに1時間以上かかる場合があった。駅前には本当に何もなくて、ホームで列車を待つしかやりようがなかったが、こんな施設があったら、いろんな本に巡り合えたかもしれない。こういう施設が身近にあるのはとてもうらやましい。最近は各地でこうした図書館が増えていて、ついつい中に入ってみたくなる。九州だと宮崎県の都城市にある図書館がとてもきれいだったし、昨年旅したときに立ち寄った富山の図書館もとてもおしゃれだった。
 駅へ戻って、コンビニに立ち寄るとと、横手焼きそばのお土産品があったので、今回はこれをお土産に買って帰った。B級グルメで全国に知られる横手焼きそばは、豚ひき肉をたっぷり使い、麺はゆで麺、そして目玉焼きと福神漬けをトッピングするのが特徴。自宅へ戻って、次の週末に早速作って食べたが、甘めでとろみのあるソースが、麺とひき肉に絡んでとてもおいしかった。

秋田県最後の未乗路線、北上線に乗車する

 さて、北上線の列車の時間が近づいてきたので、少し早めに改札内へ入ってホームの待合室で北上線の列車の入線を待った。やがて、車両基地から1両のキハ100系が入換後にホームへ入線。横手からは14時15分発の普通北上行に乗車した。
 北上線は北上を起点に、奥羽山脈を越えてここ横手を結ぶ路線である。北上では東北本線、横手では奥羽本線に接続し、奥羽山脈を隔てて走る東北地方の2つの幹線を東西で結んでいる。東北本線(IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道を含む)と奥羽本線の間を結ぶ路線は、北から花輪線、田沢湖線、北上線、陸羽東線、仙山線と合計5路線ある。このうち、路線長が最も短いのは仙山線で、その次に短いのがこれから乗車する北上線となっている。ただし、仙山線は仙台を起点に羽前千歳で奥羽本線に接続する。仙台-山形間、北上-横手間という主要駅間の距離で考えれば、一番短いのはこの北上線である。実際、列車の運行時間も1時間15分ほどとそう長くない。
 
 北上では東北新幹線に乗り換えられ、仙台や関東方面へ向かうのにも使えそうな北上線だが、全線を走る列車は7往復ととても少ない。実際、このルートで横手から東北新幹線へ乗り継ぐ人というのはあまりいない。北上は仙台まで各駅に停車する「はやぶさ」と準速達列車である「やまびこ」のみが停車し、最速達となる「はやぶさ」「こまち」は停車しない。結局北上乗り換えで東京へ早く行こうとすると、仙台で速達の列車に乗り換えなければならない。また、横手から奥羽本線を数駅進めば大曲駅があり、ここには「こまち」の全列車が停車する。やや遠回りになるのだが、結局「こまち」を利用した方が、所要時間も短く、利便性が高い。そのため、新幹線と合わせると便利そうな路線でありながら、あまり使えない路線なのである。
 利用が少ない路線ながら、この路線は東北本線から秋田への車両の回送ルートとしてよく用いられる路線である。旅客の多くは「こまち」に乗車して、田沢湖線から奥羽山脈を越えるが、田沢湖線は標準軌に改軌されているため、狭軌の車両は入線できない。また、陸羽東線は路線距離が長く、回送する距離が長くなるデメリットがある。そこで北上線はこの間の回送ルートとして最も活用されている。以前は日本海側経由で走る寝台特急も迂回で走行したことがある。また、秋田新幹線の開業に際し、田沢湖線が改軌工事で運休となった期間には、この北上線を介して、北上から秋田へ、新幹線に接続する特急列車が運行されていた。普段の乗客移動は少ないながら、意外と重要な役割を果たしている。実は図書館から駅へ戻ると北上線のホームには、検測車であるキヤE193系「East i-D」の姿があった。写真には撮れなかったが、検測先から所属する秋田へ帰るのに北上線経由で帰っていたらしい。また、数時間前には秋田で臨時列車に使われた「風っこ」も回送列車で通っていたそうである。この日も回送ルートとして大活躍する北上線であった。
 
 横手から乗車した普通列車北上行きはキハ100系の単行運転だった。北上線の列車は一ノ関の車両基地に常駐する車両が使用される。毎日一ノ関と北上の間では車両の送り込みと返却が行われているらしい。工事運休中で現在は乗れない陸羽西線を除けば、未乗のJR東日本の路線の中でキハ100系・キハ110系が使用されている路線はこれが最後となる。
 先発の列車は横手を10時49分に発車しており、この列車は3時間26分ぶりの列車ということになる。そしてこの次の列車も17時21分発と、また3時間以上間隔が開く。北上側では区間列車が走り、もう少し列車本数が多くなるが、横手側では1日7往復しかない。今回乗車するのは普通列車だが、北上線では快速列車も運行されている。とはいえこの快速列車、数年前に一部駅が廃止されたことに伴って、通過駅は現在一駅だけとなっている。
 新幹線との接続駅に行くのに1両というのがなんだか寂しい。列車は秋田からの普通列車に接続。ビジネスや観光利用の乗客もいたが、半分くらいは地元の乗客だった。座席は5割程度の埋まり具合。ボックスシートには1人ずつ、ロングシートには数人が座る感じだった。
 
 北上線は横手を発車してすぐに奥羽本線と分かれ、カーブしながら市街地をまわり込む形で走っていく。一ノ関からの大船渡線と同様に発車後すぐに山登りが始まる。その後は市内を流れる横手川とその支流の黒沢川に沿って、しばらく山登りが続く。最初の停車駅は現在相野々だが、以前は横手との間に矢美津という駅があった。廃止されたのは2022年と割と最近である。
 
 相野々を出ると次は小松川に停車。この駅は現在、先述した快速列車が通過する唯一の駅となっている。利用者がほとんどいない駅なのかと言えばそうでもなく、この列車からは地元の住民2人が下車して行った。利用者はちゃんといるらしい。
 小松川のあたりから次第に山深くなり、列車は森の中を走っていく。次の黒沢までの間は、黒沢川を渡る鉄橋が連続する。その数なんと11個。何度も何度も川を渡りながら、山を登っていく。
 
 秋田県内最後の駅である黒沢では数分停車して、横手行きの快速列車と行き違った。この駅の手前からは車窓に秋田道が見え始める。北上JCTで東北道から分岐して秋田を目指す秋田道は、北上線ルートで奥羽山脈を越える。黒沢駅からしばらくは車窓に高速道路を見ながら走っていく。秋田道では片側2車線化する工事が行われていた。
 ゆだ高原の手前で、列車は秋田県から岩手県へと入った。この瞬間秋田県内の鉄道路線の完乗を達成した。県境あたりが北上線で最も標高が高い場所である。沿線にはまだ雪が残っていた。
 
 ゆだ高原から数駅は、駅名に「ゆだ」の入る駅が続く。やがて列車はほっとゆだというちょっと変わった名前の駅に到着した。ほっとゆだは、岩手県西和賀町の中心駅で、北上線では概ね中間点に位置する駅である。前後で列車本数が変わる駅であり、ここと北上の間には、区間列車が上り2本、下り1本運転されている。駅名は駅舎と一体となった温泉施設に由来する。マイナーながら観光地として知られ、ここでは観光客らしき数人を乗せた。
 
 ほっとゆだから先が北上線の1番の見どころとなる。まず車窓の右手に、和賀川途中にある錦秋湖が見え始める。ここから北上線はしばらく、この湖畔を走っていく。最初は右側に見えるが、その後トンネルを経て鉄橋を渡り、その後は左側に湖を見ながら進む。ダム湖を斜めに渡る第二和賀川橋梁は、北上線の撮影スポットとして知られ、湖の上を走る列車の写真を撮影できる。特に紅葉の時期が1番美しい。
 
 鉄橋を渡った後は、しばらくこちら側の車窓に錦秋湖を眺め走って行く。エメラルドグリーンの湖面がとても美しかった。この錦秋湖は下流にある湯田ダムのダム湖である。このダムは1964年に完成したダムで、北上線の方が歴史は古く、北上線はダム建設に伴って、ほっとゆだから和賀仙人までの区間で、路線の付け替えが行われている。ゆだ錦秋湖駅を出ると、いくつかトンネルを潜り、湯田ダムがある峡谷区間へ入る。トンネルとトンネルの間から湯田ダムが少しだけ見え、列車は仙人トンネルへ入った。
 
 仙人トンネルを抜け、S字に曲がって川に沿って進むと、列車は和賀仙人に到着した。到着前に後ろを振り向くと、雪を積らせた山が見えていた。おそらく焼石連峰の山ではないかと思う。和賀仙人、岩沢と停車すると、その先でもう一度和賀川を渡る。この鉄橋付近から、北上線は広い北上盆地へ出た。徐々に景色も開け、田園風景が広がり始める。列車はその後数駅を経て、藤根に到着した。藤根は和賀町の代表駅。朝にはここと北上の間にも区間列車が走っている。
 
 奥羽山脈は太平洋側と日本海側の境目である。言い換えれば、天気の境目でもある。この日横手側は、晴れる時間もあったもののなかなか晴れきれなかったが、北上盆地に到達した途端に青空が広がり始めた。列車はしばらく広い田園地帯を走って行く。北上に近づくにつれて、のどかな車窓から市街地の車窓へと移り変わっていった。
 
 最後の停車駅、柳原を出ると、やがて車窓の左側から、東北本線の線路が現れ、列車はスピードを落としてゆっくりと北上の構内へ。横手から1時間15分ほどで北上に到着。近くを走る陸羽東線を過去に乗り通している身からすればあっという間の乗車時間で、あっさり山を越えた感じがした。これで奥羽山脈を越えて、東北本線と奥羽本線の間を結ぶ全ての路線に乗り終えたことになった。錦秋湖を車窓にもつ北上線は、やはりその中でも一番風光明媚な路線だった。
 これで今回の旅の目的の一つだった北上線への乗車も無事に終え、秋田県内の全路線完乗を達成することができた。そして、岩手県内の未乗車路線を東北本線の花巻-一ノ関間のみとなった。ここからは翌日にかけてこの東北本線の未乗区間に乗車していく。
 
 北上では0番線に到着した。1番線には盛岡行きの普通列車が停車していて、数分の接続で発車していった。この駅の0番線は、基本的に北上線の列車が使っている。しかし、のりばの路線表示にあるように、一部東北本線の列車もこのホームを使っており、北上線専用というわけではない。改札からは少し距離があり、階段に隠れて少々見つけにくいホームだった。

新幹線も乗り入れる岩手県南のターミナル、北上駅

 北上駅では東北本線の普通列車に乗り換えるが、あえてこの駅始発の列車に乗車するため、1時間ほどの待ち合わせとなった。間には一ノ関始発の普通列車もあるが、翌日に盛岡-一ノ関間の列車には乗車するので、区間列車の方に乗車してみる。とりあえず途中下車して、在来線側の改札から駅の外へ出た。
 北上線で秋田から岩手へ移動してきた。ここからは明日にかけて、岩手県内を移動していく。ここ北上は、今回の旅で唯一初訪問となる岩手県の市だった。新幹線で通過したことは何度かあったが、降り立つのは今回が初めて。北上市の人口は約9万人で岩手県内では第4の規模を誇る。ザ・東北本線の駅といった雰囲気の在来線側の駅舎の前には、市街地が広がる。駅前はマンションやビルが多く、人口以上に都会の街並みだった。
 
 西口と新幹線側の東口は地下の自由通路で連絡されていて、自由に行き来ができる。割と控えめでこぢんまりとした西口の駅舎とは対照的に、最大17両編成の列車が停車する新幹線側の駅舎は巨大な要塞のように見えた。もう少し近づいて写真を撮りたかったのだが、某宗教団体が居座っていて諦めた。どこに旅行に行っても必ず勧誘をやっている。やはり新幹線側はスーツケースをもった乗客の姿が多い。インバウンドの観光客も多かったが、北上に何を求めてくるのだろうか。中尊寺なら一ノ関の方が近いし、このあたりに有名の観光地というのもあまり思い浮かばない。最近は海外からの観光の方がマイナーな観光地を知っていたりして驚く。
 新幹線側の東口にも在来線の改札口があり、こちらからも直接在来線側の改札内へも入れた。乗り換え改札も設置されていて、新幹線に乗るのに在来線側から入って行くこともできる。在来線側は西口に改札がある一方、東口にはなく駅員が改札を行う。駅の構造は東海道新幹線で言うところの掛川駅に似ていた。

東北本線の北上始発の普通列車で盛岡へ

 北上からは東北本線の普通列車で、この日の宿泊地である盛岡へ行く。盛岡地区の東北本線は、盛岡-北上間で毎時2本程度、北上、一ノ関で毎時1本程度の電車が運行されている。北上では、盛岡からの普通列車の半数程度折り返す。ここから盛岡へは、この区間列車を利用することにした。先発で一ノ関始発の普通列車が到着する前には、盛岡から列車が到着した。北上駅は一ノ関発着の列車が2・3番線を使う一方、北上発着の列車は改札前の1番線を使うのが基本である。紫の帯を纏う盛岡地区の701系。これまでの旅で何回も出会っていたが、なかなか乗車する機会がなく、これが初めての乗車となった。運用範囲は一ノ関からIGRいわて銀河鉄道のいわて沼宮内までとなっている。
 
このあたりの東北本線は、花巻から一ノ関間が未乗となっており、この北上界隈は、どちらの方向へも未乗だった。北上以南は翌日に乗りつぶすとして、この日はとりあえず盛岡行きの列車で北上〜花巻間を乗りつぶした。また、花巻〜盛岡間の乗車記録は、釜石からの快速はまゆりに乗車した際の記録である。この区間において電車に乗車するのは初めてであり、各駅に停車する列車に乗車するのも初だった。
 
 北上-盛岡間の列車を乗り通し、終点の盛岡に到着。所要時間は55分だった。終始帰宅する通勤通学客が多かったが、最後に仙北町から高校生の大量乗車があり、一区間だけ東京の通勤電車の朝ラッシュのような混雑となった。
 盛岡に到着すると反対側には釜石線に直通するキハ100系の普通列車の姿があった。釜石線のキハ100系はすでに新型車両であるHB-E220系による置き換えが発表済み。旅行日の数日後にその新型車両が神戸にある川崎重工から盛岡へ輸送されている。盛岡駅には釜石線系統の列車と東北本線の区間列車で姿を見せるキハ100系もまもなく見納めということになるだろう。
 
 この日宿を取っていた盛岡に予定通りに到着。ここへきたら冷麺を食べるのを楽しみにしていたので、到着後はすぐに冷麺を食べにいった。あのもちもちした麺と辛いスープの組み合わせはやみつきになる。その後は宿泊先のホテルへ。当初は東横インを予約していたが、以前宿泊したホテルがリブランドオープンして安くなっているのを見つけたので、1週間前に変更した。駅の西側にある旧ユニゾインエクスプレスは、経営が変わりフォーポイント フレックス by シェラトンというホテルになっている。客室もリブランドに合わせてリニューアルされており、質素な部屋ながらも、一泊するには十分できれいな設備に生まれ変わっていた。
 さて、最終日となる3日目は盛岡から再び東北本線に乗車して一ノ関へ。その後は路線バスで平泉を訪ね、世界遺産中尊寺を観光しに行った。
 
続く