【過去旅回想】2017年9月 長野・東京旅② ~新潟・富山へ足を延ばして~
3日目 北陸新幹線並行在来線3路線と大糸線を旅する
この日の旅程


長野-[しなの鉄道北しなの線 普通 妙高高原行]-妙高高原-[えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン 普通 直江津行]-直江津-[えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 普通 泊行]-泊-[えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン 普通 直江津行]-糸魚川-[大糸線 普通 南小谷行]-[大糸線 特急あずさ26号新宿行]-松本-[アルピコ交通上高地線 普通 新島々行]-新島々-[アルピコ交通上高地線 普通 松本行]-松本 松本泊
妙高高原で乗り換えながら、北しなの線と妙高はねうまラインに乗車



2017年9月に旅した長野・東京旅行の3日目。前日は長野駅前のホテルに宿泊し、この日は早朝から行動を開始。この日の前半は、2015年3月の北陸新幹線金沢延伸開業に伴って、並行在来線として経営が移管されたしなの鉄道北しなの線、えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン、同日本海ひすいラインの3路線に乗車しに行った。まず長野からは北へ向かい、しなの鉄道北しなの線の普通列車で妙高高原駅を目指した。
長野駅を出た列車は左手にJR東日本の車両基地を眺め、豊野で飯山線と別れた後、妙高山の山麓へと進んでいく。夏も終盤に差し掛かり、朝夕は少し涼しさを感じられるようになった時期だったが、、山あいを走る列車に揺られて過ごす時間は心地よかった。また通勤・通学ラッシュと反対方向だったため車内は空いており、ボックスシートからの車窓もじっくり楽しめたのを思い出す。
妙高高原駅では数分の乗り換えで、えちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの普通列車直江津行に乗り換えた。接続時間はわずかだったため、駅舎の外へは出なかったが、この駅で初めて新潟県の地を踏んだ。
待ち受けていたのは、ET127系6両編成の普通列車。まさかここにきて6両の普通列車に乗るとは予想していなかったので、とても驚いたのを覚えている。二本木でのスイッチバックを体験し、その先で妙高市の市街地がある新井に到着すると、6両編成の列車も通学客でいっぱいに。その後、高校が点在する高田あたりまで混雑は続き、直江津へ。新井から先は混雑でほとんど車窓眺めることはできなかった。なお、妙高はねうまラインには、2024年春の「信濃・会津・越後のローカル線を巡る旅」で特急しらゆきに乗車し、直江津-新井間で再訪している。
新潟県西部の交通の要衝「直江津駅」で行き交う列車を眺める



長野から普通列車を乗り継ぎ、およそ2時間で直江津に到着。この駅では、1時間45分の滞在時間を設け、発着する列車を眺めながら過ごすことにした。
かつて直江津駅は、長野方面から新潟方面へ続く信越本線と、糸魚川方面から続く北陸本線が交わる地点にあり、JR東日本とJR西日本の境界駅としての役割を担っていた。しかし、北陸新幹線の開業に伴い、長野方面の信越本線はえちごトキめき鉄道の妙高はねうまラインに、糸魚川方面の北陸本線は同じく日本海ひすいラインへと移管。現在、JR線は新潟方面からの信越本線のみとなり、JR同士の境界駅から、JRと第三セクターとの接続駅へとその性格を変えている。こうした変化により、直江津駅を発着する列車の顔ぶれも数年で大きく様変わりした。それでもなお、JRやえちごトキめき鉄道に加え、北越急行の車両も姿を見せるなど、今も多彩な車両が行き交う駅であることに変わりはない。
このエリアを訪れるのは今回が初めてで、どの車両とも初対面となった。JR信越本線の普通列車とほくほく線の車両が並ぶ姿、特急「しらゆき」の発着、さらには当時まだ運転されていた新潟〜新井間の通称「新井快速」に使われていた115系などを目にし、新潟県に来たことを実感。当時、新潟地区では115系からE129系への置き換えが進行中であり、この時の出会いが、結果的に自分にとって新潟の115系との最初で最後の邂逅となった。今でも、新潟の足として長く活躍してきたこの車両に、あの時出会えて本当に良かったと思っている。
日本海ひすいラインの普通列車で親不知の海を眺め西へ

直江津からは、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの普通列車・泊行きに乗車。これまた初めてとなる富山県を目指した。
北陸本線時代、この区間では交直流電車が使用されていたが、えちごトキめき鉄道への移管後は気動車に置き換えられ、現在は架線の下をディーゼルカーが走る、いわゆる「架線下DC」の区間となっている。というのも、糸魚川付近には直流と交流の切り替え地点(デッドセクション)が存在し、交直流電車を使うには輸送密度が低すぎるため、維持コストなどを考慮して気動車運行が選ばれた。
この区間で使用されているET122形気動車は、JR西日本が姫新線向けに導入したキハ122形をベースとしており、顔も関西圏で活躍する223系によく似ている。こうして直江津駅では、JR東日本の車両と”関西顔”の車両が並ぶ。四国から新潟まで広い範囲で運用される”223系顔”車両はここが運用の北限である。
列車は日本海沿いを一貫して走り、糸魚川、そして終点の泊へ。北アルプスから続く急峻な山々が海岸線まで迫り、トンネルも多い区間だが、時折車窓には穏やかな日本海の景色が広がり、美しい風景を楽しみながら進んでいった。
普通列車同士が縦列で接続する泊で折り返し糸魚川へ



直江津から乗車した泊行の普通列車の終点の一つ手前にある越中宮崎が、えちごトキめき鉄道とあいの風とやま鉄道の境界駅となっており、列車は一駅分だけあいの風とやま鉄道線を走行する。今回の旅は、長野、山梨、新潟と、初めて訪れる県ばかりだったが、富山もまたその一つだった。
北陸新幹線の延伸開業に伴い、あいの風とやま鉄道とえちごトキめき鉄道の列車の接続駅となった泊駅。現在も朝夕には、あいの風とやま鉄道の電車が糸魚川まで乗り入れているが、日中は原則として泊での乗り換えが必要となっている。
乗り換えの利便性を高めるため、移管にあたってはホーム中線に誘導信号が設けられ、富山側・糸魚川側の双方からの列車が縦列で停車できるよう整備された。そのため、乗り換えは階段を使わず、ホーム上で水平移動だけで済む仕組みになっている。このときも、先にえちごトキめき鉄道の列車が到着し、その後、富山側からの普通列車がゆっくりと中線に滑り込んでくる光景を見ることができた。そして、両方向へ向かう乗客がここで乗り換えていった。
富山県への初上陸とはなったが、今回はここ泊で折り返す行程だった。この先のあいの風とやま鉄道区間には、翌年に改めて訪れており、泊にも再び足を運んでいる。富山県へ来た記念に、ここではあいの風とやま鉄道のICOCAを購入した。
泊では1時間ほど滞在し、折り返し列車で来た道を戻って糸魚川へ向かった。糸魚川では前年(2016年)12月に駅前市街地で大規模な火災が発生していた。この時も少し駅前を歩いてみたが、被災エリアでは住宅や店舗の取り壊しがほぼ完了しており、街のあちこちには「頑張ろう糸魚川」というメッセージが掲げられていたのを思い出す。
単行の普通列車と特急「あずさ」で大糸線を縦断



糸魚川からは大糸線を南下して松本へ。まずは普通列車に乗車して南小谷へ向かい、その後南小谷で特急「あずさ」へ乗り継いだ。
大糸線は区間の北側である糸魚川~南小谷間をJR西日本が、南側の南小谷~松本間をJR東日本が運行している。JR東日本区間は電化されており、首都圏からの特急列車も乗り入れる一方で、北側は非電化となっており、北陸新幹線開業後は、JR西日本の在来線路線としても、非電化路線としても孤立する形になっている。
南小谷までの区間は、急峻な山々が線路の両側に広がる。線路は姫川という川に沿って敷かれており、とても山深く、自然豊かな景色が魅力の路線である。豪雪地帯であり、雪に対する設備が多く見られたのも印象的で、実際に目にするのは初めてだったため、とても新鮮に感じられたのを覚えている。
山間の境界駅、南小谷では1両の普通列車から10両の特急「あずさ」に乗り換え。この時点での特急「あずさ」はE257系で運転されており、大糸線への直通列車は、千葉発南小谷行で南小谷へ来て、新宿へ戻る運用になっていた。南小谷からはその特急「あずさ」26号新宿行に乗車し、松本へ向かった。なお、現在はE353系へ置き換えられるとともに、運転区間が白馬までに短縮されている。
南小谷からの乗車は少なかったが、白馬や信濃大町からは多くの乗客が乗り込んできた。列車は木崎湖を車窓に眺めながら南下していく。本来なら、大糸線ならではのアルプスの雄大な山並みを期待していたが、この日はあいにくの曇り空で、その姿を見ることはできなかった。なお、大糸線には2024年初夏の「初夏の立山黒部アルペンルートを満喫する旅」において、信濃大町-松本間に改めて乗車。そのときには天候にも恵まれ、アルプスの山々をしっかりと車窓に楽しむことができた。
松本城を観光後、松本からアルピコ交通上高地線を往復




松本には15時43分に到着。1日目は通過し、2日目は普通列車の乗り換えのみだったが、この日ようやく改札の外へ出ることができた。到着後は徒歩で松本城へ向かい、現存12天守の一つで国宝にも指定されている、この街のシンボルを見学。旅の3日目にして、ようやく観光らしい観光となった。
その後は路線バスで松本駅へ戻り、アルピコ交通上高地線に乗車。終点の新島々まで往復して、この路線を乗りつぶした。上高地線はその名の通り、上高地へのアクセス路線であり、終点の新島々からはバスで上高地へ向かうことができる。日中は観光客の利用も多いが、このときは夕方の列車ということもあって、車内は観光客の姿はなく、通勤・通学客が中心で、松本近郊の住民に愛されている様子を垣間見ることができた。なお、現在は車両も更新されており、上高地にもまだ行けていないことから、近々再訪したい路線なと思っている。
さて、3日間にわたる長野近辺の鉄道路線巡りはこの日で一区切り。この日は松本に宿泊し、翌日は中央本線の特急「スーパーあずさ」で東京へ向かい、旅の舞台を関東地方へ移した。
続く