【旅行記】西肥バス・生月バスで巡る佐世保・平戸旅~佐世保-伊万里線と松浦鉄道快速に乗車する~

3年ぶりの九州再発見の旅—佐世保・松浦・平戸を巡る

 2020年から2022年にかけては、コロナ禍の影響で遠出の旅行が難しい状況が続いた。そこで筆者はこの期間、改めて地元・九州に目を向け、”九州を再発見する”ことをテーマに、各地を走る路線バスを巡る旅を企画した。九州内の鉄道路線の乗りつぶしはすでに完了しており、地元九州の交通についてある程度知っているつもりだったが、まだ知らない街や地域、またバス路線が数多くあることに気づかされ、身近な地域への旅でも、案外いろんな発見があるという、いわゆるマイクロツーリズムの楽しさを再認識することができた期間となった。
 一方、世の中の旅行に対する認識も徐々に緩和されていき、2021年の秋以降は、徐々に遠出の旅を再開。その後2022年春までは状況を見ながら、九州の旅と遠出の旅を織り交ぜていたが、同年夏以降は完全に遠出の旅へシフトし、この時点でも「九州再発見の旅」でやり残していたことがいくつかあったが、昨今の大雨や台風による鉄道路線の被災が毎年のように発生する状況を危惧していたため、全国の鉄道路線の乗りつぶし旅を優先し、「九州再発見の旅」は乗りつぶしに一定の目処が付くまで”お蔵入り”させることになった。今年の前半も、鉄道路線巡りを続けてきたが、前回の旅で乗りつぶしも一定の目処がついた。そこで今回は久しぶりに3年間”お蔵入り”にしていた九州再発見の旅を再始動させることにした。
 ”お蔵入り”にしていた九州の目的地はいくつかあるのだが、今回はその中でも九州の旅を久しぶりに再開する時はここへ行くと決めていた場所を旅する。それが今回の旅の目的地、長崎県の佐世保・平戸・松浦エリアだった。
 佐世保にはもちろんこれまで何度か行ったことがあるものの、そこから北側に位置する平戸・松浦エリアは、松浦鉄道に乗車した際に通過したことがあるだけ。さらに松浦鉄道も最後の乗車からすでに9年が経過している。以前から平戸島へは行ってみたいと思っており、2021年に九州再発見の旅を計画する中でも、旅してみたい場所の一つとして候補には挙がっていた。しかし、当時は宿泊を伴う旅行に対しても、周囲の慎重な空気もあり、自宅からのアクセスに少し時間がかかること、そして路線数が多く、日帰りでは乗車できる路線数に限りがあることから、なかなか実行には至らなかった。そうこうしているうちに遠出の旅を再開させることとなり、このエリアの旅も自然とお蔵入りということになっていた。
 今回は前泊を含む1泊2日の旅程で、このエリアの路線バスに乗車する旅を企画した。佐世保周辺で路線を運行する西肥バスに加え、平戸と橋でつながる生月島へ向かう生月バスにも乗車しながら、この地域を旅していく。途中では松浦鉄道や西彼杵半島への航路なども活用し、バス・鉄道・船舶といった多様な交通機関に利用する旅となった。
 ところで、西肥バスでは近年、利用者の減少や人手不足の影響から、路線廃止が相次いでいる。”お蔵入り”している間に、廃止されてしまった路線もいくつかある。時間も費用も限られる中では、やはり優先順位を決めなければならず、すべてを回るのは難しい。廃止前に乗車することができなかったのはとても悔やまれる。だからこそ、行けるタイミングではいろんな路線に乗車しておこうと思う。夏真っ盛りに企画した今回の旅。久々のバス旅への期待と、暑さに対する一抹の不安を胸に、3年ぶりの九州再発見の旅がスタートした。

昭和バスの「いまり号」で伊万里へ前乗り

 バス旅は鉄道旅以上に計画の緻密さと遅延に対するリスクヘッジが欠かせない。鉄道とは異なり、一般交通の中を走行するバスは遅延することも多く、タイトな乗り継ぎは旅程全体を崩壊させてしまう恐れがある。さらに乗車したい路線の中には本数が少ない路線もあって、計画を立てるのも一筋縄ではいかない。裏を返せばそれがバス旅の面白さでもあるのだが、今回の旅もまた、春のとある日に深夜まで計画を練り、数日間かけてようやく旅程を完成させることができた。
 いろいろ旅程を探った結果、今回も前泊をして旅していくことに。はじめは佐世保へ前乗りするつもりだったが、翌日の旅程の関係上、佐世保ではなく、佐賀県の伊万里に宿泊。翌日、伊万里から佐世保・平戸・松浦への旅をスタートさせることになった。
 
 旅の起点・福岡からは昭和バスの「いまり号」に乗車して、前泊地の伊万里へ移動した。「いまり号」に乗車するのは、2022年2月の「SUNQパスで行く大分国東・佐賀嬉野の路線バスの旅」で乗車して以来、実に3年半ぶりだった。
 前回は夕方の上り便だったため乗客も数人だったが、今回は土曜日の下り便ということで、8割近い座席が埋まっていた。バスは福岡空港を起点に、博多バスターミナル、西鉄天神高速バスターミナルに停車。その後、福岡都市高速、西九州道(今宿道路)、二丈浜玉道路などを経由して唐津へ向かう。かつての「いまり号」は、浜玉中前、浜玉IC、西九州道、唐津ICと経由していたが、2022年4月に経路変更により、からつ号と同じく鏡山下(イオン唐津前)を経由するルートに改められた。
 新ルート移行後に乗車するのは初めてだったが、乗り合わせた乗客は鏡山下、今組で数人が下車。さらに唐津ICでは10名近くが下車していき、ここで車内の混雑も落ち着いた。その後は山本、県道52号、国道202号経由で伊万里の市街地へ。伊万里駅前でバスを下車した。(※写真は過去に西鉄天神高速バスターミナル付近で撮影した昭和バスの車両)
 
乗車記録 No.1
昭和バス いまり号 伊万里営業所行
福岡空港国内線→伊万里駅前
 
 伊万里駅前には21時30分ごろに到着。始発地の福岡空港から乗車したため、所要時間は2時間20分とかなり長時間の乗車だった。駅前に降り立つと、夜にもかかわらず子どもたちの姿が。この日の伊万里駅前では夜市が行われていたようで、いつもはあまり人影のない駅前も賑わっていた。
 宿泊先は駅のすぐ近くにある「セントラルホテル伊万里」。客室は最近リニューアルされたらしく、想像以上にきれいで快適に過ごすことができた。佐賀県での宿泊は今年1月以来で2回目。こんなに早く県内での2度目の宿泊が実現するとは思っていなかったが、それ以上に伊万里に泊まることになるとは、自分でも予想していなかった。

早朝の伊万里駅から2日間の旅を始める

 翌朝は5時45分頃に起床。前日は夜中に到着したので、朝起きて初めて明るい時間の伊万里市街地を客室から眺めることができた。11階の客室からは市街地の先に有田川の河口や有田湾を見ることもできた。伊万里に来るのはこれで4回目のはず。人口は約5万3千人。言わずと知れた焼き物・陶器の街である。時々外の景色を眺めながら、身支度を進める。この日は快晴の予定。夏の陽光のもと、清々しい気分での旅立ちとなった。
 ホテルの裏にはJR筑肥線の伊万里駅がある。前夜にホテルに到着した際には、キハ125形2両が停泊しているのが見えていたが、この2両は5時38分発の普通列車としてすでに発車済み。6時21分には下りの始発列車が到着。折り返しの普通列車の唐津行きとして発車を待っていた。
 筆者にとってここJR伊万里駅は、JR九州を初めて完乗した思い出の地である。完乗を達成した2016年3月の写真を見返すと、その時乗車したのは、奇しくも写真のキハ125-6だった。その時はここから松浦鉄道で有田へ行き、早岐からキハ65・66の普通列車長崎行きに乗り換えて長崎へ向かっている。筑肥西線も最後に乗車してからしばらく時間が経っている。今回は乗車しないが、また近いうちに乗りに行きたいと思う。
 
 早朝の伊万里駅はまだ人の姿も車通りも少ない。昨夜駅前で開催されていた夜市もすでに撤収済み。かつては繋がっていた唐津側と有田・佐世保側への線路は、現在は分断されている。JRと松浦鉄道の伊万里駅舎は互いに歩道橋で接続されている。路線バスや高速バスは、両駅の間を貫く道路の両駅舎前に停車し、一円の交通ターミナルとして機能している。路線バスとしてはこれから乗車する西肥バスと昭和バス、伊万里市のコミュニティバスが発着。昭和バスは唐津へ。西肥バスは佐世保のほか、三間坂や伊万里市と橋でつながる長崎県松浦市の福島へのバスも運行している。以前は松浦へ行く路線もあり、これも乗ってみたい路線のひとつだったが、今年3月に残念ながら廃止されてしまった。

伊万里から西肥バスで3年ぶりの佐世保へ

 1日目は伊万里から佐世保、佐々、江迎を経由して平戸を目指し、その後、平戸周辺のバス路線にいくつか乗車する。伊万里駅前からは西肥バスの佐世保行きに乗車し、佐世保を目指した。
 今回の旅で2日間ともにお世話になる西肥バスは、長崎県佐世保市に本社を置くバス会社。佐世保や北松浦、平戸、新上五島などで路線バスを運行しているが、一部路線は佐賀県内にも延びている。伊万里は佐賀県に属するが、長崎県に隣接する立地であることから、西肥バスの営業所が置かれており、周辺への路線バスも多くは同社が運行している。これから乗車する伊万里〜佐世保間のバスは、佐世保から県境を越えて運行される路線の一つで、佐世保から早岐、有田を経由して運行される基幹的なバス路線となっている。
 なお、佐世保から佐賀県内へ至る路線には、もう一つ「嬉野線」がある。こちらも佐世保から三川内までは伊万里線と同じ経路を進み、三川内から東進して嬉野を目指す。この路線には、2022年2月の前述の旅で乗車した
 
 乗車したのは6時50分発の佐世保市総合医療センター入口行き。佐世保〜伊万里間のバスは、基本的に佐世保駅前発着で運転されているが、毎日朝の1本目だけは佐世保市総合医療センター入口が終点となっている。
 伊万里側から佐世保方面への利用者が多いため、本数は午前の伊万里発、午後の佐世保発が多い。平日は6時25分の後に7時25分、8時25分、9時15分と午前中はほぼ1時間ごとにバスがある。一方、休日は6時50分始発の後、9時3分、10時32分と若干間隔が開く。
 
乗車記録 No.2
西肥バス 伊万里線 佐世保市総合医療センター入口行
伊万里駅前→佐世保駅前
 
 伊万里駅前から乗車したのは自分ひとりだけ。日曜日のこんな朝早くに出かけようとする人など、そうそういないだろう。平日だと通学や日常利用などで佐世保へ向かう人が一定数いるのではないかと思うが、何人くらいいるのか気になるところではある。
 伊万里駅を北向きに発車したバスは、駅前の交差点を左折。伊万里の市街地を走り抜けると、その先で松浦鉄道の踏切を横断した。ちょうど踏切が鳴りだして、普通列車の伊万里行きが通過していった。踏切手前にあるのが、乗車している西肥バスの伊万里営業所で、西肥バスの営業所で唯一佐賀県内にある拠点である。乗車中のバスを含め、ここに所属するバスは佐賀ナンバーになっている。
 
 川東を通過すると、バスは有田川に架かる橋を渡った。直後に左折し、川西バス停に停車。ここで乗客1人を乗せた。川西バス停付近にはロードサイド店舗が並んでいる。国道202号線はこの先、有田川沿いを内陸へと進む。しばらくは松浦鉄道と川を挟んで反対側を走っていく。ちなみに国道202号線は、福岡から長崎まで唐津、伊万里、佐世保(早岐)、西海を経由して長崎へ向かう国道である。昨日も前原から伊万里まで、基本的にはこの国道を通ってきた。
 夫婦石の手前で国道は有田川を渡り、その後は松浦鉄道の隣を進んでいく。夫婦石付近には共立病院という大きな病院があり、日中の便はこの構内に乗り入れている。
 このあたりの松浦鉄道に乗車したのも9年前のこと。この周辺を通るのもそれ以来だが、こののどかな田園風景を見ると、「確かにこんな場所だったな」と記憶が蘇ってくる。夫婦石付近からは有田町へ入り、バスはその役場前を通過。有田町を縦断する形で走るが、東側に位置する有田駅には立ち寄らず、蔵宿駅から三河内駅方面へショートカットする形となる。伊万里も有田も全国的に有名な焼き物の街であり、バスの車窓からも窯元が見えた。
 
 武雄方面からやってきた国道35号線と合流し、原明地区を通過すると、その先に「県境」という名のバス停が現れる。この直前で、バスは佐賀県から長崎県へと入った。その後は佐世保線と並走しつつ、三河内を経由して早岐へ。早岐では、早岐瀬戸の横にある早岐田子の浦バス停を経由した。ここまでの乗客はわずか2人だったが、早岐地区からは各バス停ごとに乗車があり、車内の乗客も徐々に増えていった。
 
 大塔を経由した後は、バイパスをまっすぐ進むのではなく、一旦市道へ入り猫山入口を通過。ある意味、某通販企業の本社の裏手を回る形で進み、日宇から再びバイパスへ戻ると、やがてバスは佐世保駅前に到着。終点までは行かずここでバスを下車した。

佐世保駅で松浦鉄道に乗り換える

 伊万里から約1時間で佐世保に到着。佐世保自体は何度も来たことがあるが、ここから先へ行くのはかなり久しぶりとなる。これまでは駅で折り返すばかりだったので、今回は佐世保周辺を再発見するのを楽しみにしてきた。JRの駅としては、ここが日本最西端の駅である。この1年の間に稚内駅と根室駅にも行ったので、あとは西大山駅へ行けば、1年で東西南北すべての駅へ行ったことになる。もっとも、西大山にも何度か行ったことがあるので、特に行く予定はない。
 
 佐世保に来た時に必ず立ち寄る場所がある。それが佐世保駅みなと口から道路を渡った先にある、佐世保港の広場。佐世保を象徴する都会的な街並みと港の景色を、駅から徒歩30秒で味わえる場所である。今回もここで30分ほど時間をつぶした。日曜日だったこの日、広場には三味線を演奏している人がいて、その音色が港に響いていた。やがて奥から一隻の船がやってきて、フェリーターミナルに到着。横瀬西港から来たこの便の折り返しには、明日の旅で乗船する予定である。佐世保港は県内各地への航路が集結する。もちろん五島などの離島便も多いが、西彼杵半島や、九州本島と橋でつながっている大島などへの航路も存在する。
 
 佐世保からは、今回の旅で唯一となる列車に乗車する。少し早めに松浦鉄道のホームへ行くと、隣接するJRのホームには885系の特急「みどり」が停車していた。885系は西九州新幹線開業に伴い、長崎へ行かなくなった代わりに佐世保線へ進出。「みどり」としても運用され、佐世保でも日常的な存在となった。博多で見かけていた885系の「みどり」だが、佐世保で目にするのはこれが初めて。一昔前、日中は783系しかいなかったことを思えば、時代は変わったと感じる。787系や885系の「みどり」に乗車する旅もいつか企画してみたい。

松浦鉄道の快速列車で佐世保から佐々へ

 佐世保から平戸へは直通のバスも走っているが、これは2日目の最後に乗り通す予定である。同じルートを往復しても面白くないので、なるべく別のルートとなるように計画を立てた。佐世保から佐々へは、平戸行きのバスのほか、別の道を経由するバスも運行されている。日野を経由するバスに時間が合えば、これに乗車してみたいところだったが、今回は残念ながら時間が合わなかった。そのため、SUNQパスを使った旅の1日目も2本目にして、早速鉄道へ浮気。松浦鉄道で佐々を目指すことにした。
 佐世保から佐々、たびら平戸口、伊万里を経由して、有田までつながる松浦鉄道西九州線。この路線には2016年3月にまず伊万里-有田間に乗車。その後同年12月に伊万里-佐世保間に乗車した。今回はその時以来、約9年半ぶりにこの路線を利用する。松浦鉄道で佐々を目指すことにしたのは、ちょうど快速列車が運転されている時間だったためである。松浦鉄道の佐世保側では、毎日3往復だけ快速列車が運転されている。この列車のことは以前から気になっていたが、朝しか走っていないため、乗車難易度が高く、なかなか乗車するチャンスがなかった。今回は3往復の中で最も運行時間が遅い8時53分発の快速佐々行きに乗車した。
 
 列車は江迎鹿町始発の快速佐世保行きの折り返しだった。快速は佐々-佐世保間で運転されているが、このうち1本が江迎鹿町始発(佐々までは普通)で運転されている。松浦鉄道の朝夕の佐世保側は1時間あたり3〜4本の列車が運転されており、佐世保発の列車では7時台の1本と8時台の2本が快速となっている。  ホームへ上がると、乗車する快速列車の前を走る普通佐々行きが停車していた。久しぶりに松浦鉄道の車両を目の前に見る。なんだか最近見たような気がするのは、春に遠い秋田で由利高原鉄道の車両を見たからに違いない。どちらも日本車輌の気動車を導入しており、由利高原鉄道の車両は松浦鉄道のこの車両がベースとなっている。
 やがて隣のホームには乗車する快速佐々行きが入線。ともに佐々行き同士が横に並ぶ。快速列車ではあるものの、途中駅で追い抜きがあるわけではないため、先発に乗った方が各駅には先に着く。そのため、先を急ぐ乗客は普通列車に乗り込んでいく。あえて快速に乗ろうとするのは当たり前ながら筆者くらいだった。
 
 先発の普通佐々行きが発車するとドアが開き、列車に乗り込むことができた。松浦鉄道ではICカードが利用可能。鉄道路線なのでSUNQパスはもちろん使えず、ここでは課金する形になるが、ちょうどICOCAのポイントが貯まっていたので、これを活用し、実質的にここでの追加出費はなかった。
 先発の普通列車の発車後、この列車が発車するまでの時間は13分。この間にどれくらい乗客が増えるか観察していたが、乗客は総勢10人くらいしか現れず、普通列車の方が乗客の数が多いように見えた。
 
乗車記録 No.3
松浦鉄道西九州線 快速 佐々行
佐世保→佐々 MR-600形
 
 佐世保を出た列車は佐世保中央、北佐世保、泉福寺、左石と停車し、佐世保市の郊外へと進む。佐世保駅周辺では、都会的な街並みが車窓に広がる。所要時間わずか2分ほどで到着する佐世保中央では、早くも車内の半数以上の乗客が下車。代わりにここから同じくらいの乗客が乗車してきた。
 佐世保中央駅はアーケードに面する場所にあり、駅の線路を挟んで反対側にはイオン佐世保店があった。しかし、同店は2022年に閉店し、現在は再開発が進んでいる。次の中佐世保駅との間の距離はわずか0.2kmしかないことで有名。快速列車は中佐世保を通過するが、加速中に通過する形となる。
 
 中佐世保を通過した列車は、坂の街・佐世保を象徴するような車窓を眺め、いくつかのトンネルを潜り抜けて北佐世保へ。ここで反対列車の佐世保行き普通列車と交換した。その後は佐世保川と合流し、しばらく並走する。川の対岸に見える大きな道路は、この2日間で何度か通ることになる。山の田は通過となり、その先で泉福寺と左石に停車。このあたりは佐世保の副都心的な役割を持ち、それぞれ駅の近くにも高校がある。
 
 泉福寺と左石の間でカーブを曲がり、進行方向を西へ向けた列車。ここからはしばらく西へ進み、相浦を目指していく。左石を出ると、本山、上相浦、大学、相浦と停車。左石から本山間では3駅連続通過となる。列車交換ができる中里は通過して、直後の本山に停車。ここからは上相浦、大学、相浦、棚方としばらく連続で停車する。上相浦、大学では数人が乗降し、相浦でも数人が下車。
 佐世保–佐々間では内陸を走る時間が長いが、大学を出て写真の相浦川の鉄橋を渡ると、相浦の港が車窓に広がる。相浦からは高島という離島へのフェリーが出ている。駅から歩いて桟橋へ行くこともできるが、佐世保駅からは相浦桟橋行の路線バスも運行されている。
 
 相浦を出て棚方に停車した列車。次の真申が最後の通過駅である。ここも列車交換が可能な駅であり、決して周辺に人家が少ないわけではないが、通過となる。やがて車窓には工業団地が広がり始め、この中に西肥バス最大の営業所である北部営業所がある。車窓にもたくさんのバスが駐車されているのが見えた。
 最後の停車駅、小浦駅は駅横に公園が広がっている。家族連れが列車を待っており、佐々へ行ったら接続列車があるのか運転士に尋ねていたが、接続列車はなく、後続の列車をそのまま待つようだった。小浦駅を出ると、しばらく田園風景を眺め、列車は終点の佐々に到着した。
 
 佐世保から30分ほどで終点の佐々に到着。反対側のホームにはたびら平戸口から来た佐世保行きが停車していたが、入れ替わりに発車していった。佐々は松浦鉄道の本社と車両基地がある駅で、車両基地には多くの車両が留置されている。乗ってきた列車も乗客を降ろした後、入換作業が行われ、車両基地へ回送されていった。ちなみに佐世保を13分前に発車していた先発の佐々行きは8分前にこの駅に到着済みで、縮めた時間は4分だった。
 さて、今回の旅で列車に乗車するのはこれが最後。ここからは再びバス旅に復帰する。佐々からは海沿いを進む楠泊線に乗車し江迎へ。その後、バスを乗り換えて平戸へと進んだ。
 
続く