【旅行記】信濃・会津・越後のローカル線を巡る旅~北越急行ほくほく線をゆく~
前話
特急しらゆきを新潟から新井まで乗り通した後、普通列車で折り返して直江津駅へやってきた。3日間の信濃・会津・越後のローカル線を巡る旅も終盤。直江津からは、特急街道からローカル鉄道へ変貌した北越急行で越後湯沢へ向かい、上越線、新幹線経由で旅のゴール新潟駅へと戻った。
新幹線開業でローカル鉄道へ変貌した北越急行に乗車
今年3月に北陸新幹線金沢~敦賀間が開業し、いよいよ福井-東京間も1本の新幹線で結ばれるようになった。北陸新幹線が金沢まで開業したのは、2015年の話。新幹線開業以前の首都圏と北陸間の鉄道移動は、長野新幹線ではなく、上越新幹線と特急はくたかを乗り継ぐ形となっていた。これから乗車する北越急行ほくほく線は、特急はくたかが通過していた路線であり、かつて東京と北陸の移動になくてはならない存在で、東京と北陸、それに新潟県西部地域との所要時間短縮に最初に貢献した立役者だった。
もともと東京から新潟県を経由して金沢へ向かう現在の北陸新幹線ルートには、特急白山という列車が走っていた。上野と金沢を、高崎線、信越本線、北陸本線経由でおよそ6時間かけて走る列車だった。6時間という所要時間はとかなり長く感じるが、これでも客車で運転されていた急行列車より、3時間も所要時間が短縮された。
その後、1997年に北越急行ほくほく線が開業。それと同時に特急はくたかが運行を開始した。高速運転が可能な高規格なこの路線を経由し、越後湯沢で上越新幹線と連絡することで、首都圏と北陸はさらに近くなった。2002年からはほくほく線で160km/h運転を開始される。特急はくたかと上越新幹線を乗り継いだ場合の所要時間は、特急白山よりも2時間ほど短縮されて約4時間となった。ほくほく線開業から北陸新幹線延伸開業までの間は、長野経由ではなく上越新幹線を経由するルートが、北陸と首都圏を繋ぐメインルートとなった。
その後、2015年に北陸新幹線の長野~金沢間が開業。寝台特急では上越線経由の「北陸」があったが、昼行列車としては、特急白山以来久しぶりに東京と金沢が1本の列車で結ばれるようになった。所要時間も特急はくたかよりさらに短縮され、約2時間半となった。一方で、上越新幹線とほくほく線は、北陸へのメインルートではなくなった。
北越急行ほくほく線は、新幹線金沢延伸以前には東京と北陸を結ぶメインルートの一翼を担っており、特急列車が多数走行する特急街道路線だった。しかし、新幹線延伸開業後は、特急列車の運行が無くなり、高速走行可能な設備は、無用の長物と化した。ほくほく線ではその後も上越市へのアクセスにおいて、新幹線への対抗する超快速スノーラビットの運行を行っていたが、2023年のダイヤ改正で廃止に。現在も十日町から越後湯沢へ新幹線連絡という役割を残すが、沿線の地域利用をメインとしたローカル鉄道へと変貌を遂げている。
今回はこの旅唯一の私鉄路線として、そんな歴史を歩んできた北越急行ほくほく線に初めて乗車してみる。特急はくたかが高速走行していた頃の名残を楽しみながら、直江津から越後湯沢へ向かっていく。

乗車したのは直江津を11時21分に発車する普通列車越後湯沢行き。北越急行HK100形2両での運転だった。北越急行ほくほく線は正式には犀潟~六日町間となり、この列車は直江津~犀潟間で信越本線、六日町~越後湯沢間で上越線に直通。両端でJR線を走る列車となっている。ほくほく線の普通列車は、信越本線、上越線内ともに一部駅を通過する場合がある。乗車列車は黒井には停車するが、上越線では塩沢以外の途中駅を通過する列車だった。
今回乗車する列車は、少し前までえちごトキめき鉄道へ直通し、新井始発で運転されていた列車だった。あともう少し来るのが早ければ、特急しらゆきで新井まで来て、そのまま越後湯沢行きに乗り換えられていたことになる。北越急行とえちごトキめき鉄道へ直通運転は、2015年に開始されたが、2023年のダイヤ改正で廃止された。直江津駅で折り返し時間がやたらと長いのは、新井まで行っていた頃の名残である。

2両編成のうち、先頭は一般車両だが、2両目は「ゆめぞら」と名のついた車両で運転されていた。この車両の最大の特徴は車内の天井に映像が映し出せること。ほくほく線は山をトンネルで貫いて、まっすぐ線路が敷かれている。そのため、トンネルがとても多く、しかも長いという特徴がある。トンネルを走る区間が長いため、車窓を楽しめる区間は少ない。それを逆手にとってプラネタリウムやシアターを上映している。シアターが上映されるのは、日曜日の決まった列車のみ。この日は平日でだったので、残念ながらシアター上映はなかった。

一般車両はボックスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートだが、ゆめぞらは転換クロスシートとなっている。一般車両と「ゆめぞら」車両、どちらに乗ろうか迷ったが、やはり「ゆめぞら」の方が乗り得なので、今回はこの車両に乗車した。進行方向左側の席の窓枠間には、頭上にシアター装置が設置されている。一般車両はつり革が吊り下げられているが、ゆめぞらにはない。天井がスクリーンとなるので、照明も間接照明となり、頭上はかなりすっきりとしていた。
乗車記録 No.11
信越本線・北越急行ほくほく線・上越線
普通 越後湯沢行
直江津→越後湯沢 HK100形

直江津では沿線住民を中心に10人ほどが乗車。20分前に信越本線の長岡行が走っているので、ほくほく線内の沿線住民が多かった。直江津駅を出た列車は黒井に停車し、犀潟駅へ。この犀潟がほくほく線の終点となっていて、今回は六日町から犀潟へ続くほくほく線を遡上する形となる。黒井と犀潟でも沿線住民の乗車が数名あった。

犀潟を出ると信越本線からほくほく線へ進み、右へカーブしながら信越本線の上り線をオーバーパスした。ほとんどの区間が高架橋とトンネルで構成されているほくほく線。列車は早速、高規格な高架橋を快走していく。沿線は一面の田園風景。水が張られる直前だろうか。田んぼは耕されていて美しかった。

最初の停車駅のくびきは、駅周辺に集落があり、地元の住民が早速下車していった。くびきを出ると広い田園地帯はこの辺でおしまいとなり、早速トンネルが現れる。次の大池いこいの森駅はほくほく線でも秘境駅として知られ、やや離れた場所に人家があるものの、駅周辺は森と田畑が広がっている。近くにある大池いこいの森というレジャー施設が駅名の由来。1日の乗車人員は10人以下とほとんどいないらしい。

大池いこいの森を出た列車はここからトンネルと駅の繰り返しで、うらがわら、虫川大杉、ほくほく大島、まつだいと停車していく。線路設備も見てみたかったので、車両の後部で後面展望してみた。特急はくたかが走っていた頃、ほくほく線では最高160km/hでの運転が行われていた。在来線で160km/h運転を行う際には、高速進行という信号機の現示が用いられる。現在もスカイライナーが走る京成成田空港線で用いられているが、ほくほく線が国内で初めてこの高速進行現示を使った鉄道会社だった。高速進行現示は、緑緑で示される。ほくほく線の信号機は、高速進行現示が表示できるように上から緑緑黄赤緑の五灯式、または黄緑赤緑黄緑の六灯式の信号機が設置されている。
新幹線の延伸開業で特急はくたかが姿を消したほくほく線は、160km/h運転を行う列車が無くなり、営業列車の最高速度は95km/hとなった。現在では順次三灯式への交換が進められており、将来的には高速進行を示すことができた細長い信号機も姿を消すことが予想される。駅には9両の停車位置目標が残る。今は3両編成以上の列車が走ることは滅多にないほくほく線。9両の停車位置目標と、一部駅の長いプラットホームは、かつてここを長編成の特急列車が駆け抜けていたことを表している。

虫川大杉では、反対列車とすれ違った。トンネルからまっすぐに続く線路。かつてここを特急はくたかが駆け抜けたと想像するだけでもちょっと楽しい。廃止されたのはまだ9年前の話。YouTubeで検索すれば、ほくほく線を駆け抜ける特急はくたかの映像がたくさん見れる。この駅で撮影された動画もあった。出発信号機は確かに高速進行を示していた。

列車は虫川大杉を出て、長いトンネルを通って次のほくほく大島駅へ。ここも駅の近くに人家が少なく、川と道路を跨ぐトンネルとトンネルの間の高架橋に駅が造られた。ここは南北へ行くと集落があり、駅には路線バスも停車。列車から乗り継ぎできるような時間にバスが走っていて、降りる人の姿があった。ほくほく大島を出ると、列車は鍋立山トンネルへ入る。全長約9kmのトンネルの途中には儀明信号場が設置されている。トンネルを出たまつだい駅では十日町方面へ向かう乗客の乗車があった。

まつだいを出ると、今度は薬師峠トンネルへ入る。このトンネルの中にも薬師峠信号場という信号機があった。しかし、特急列車が走らなくなった今、交換設備がたくさんあっても使わないため、この信号場は2015年に休止されている。トンネルを抜けると一気に視界が開け、その先で信濃川を渡る。橋を渡ると再びトンネルへ。トンネルを出ると、もうそこは十日町の市街地の中。列車はそのまま高架橋を上って、十日町駅に到着した。

1日目に飯山線で訪れた十日町駅に2日ぶりに戻ってきた。ローカルな雰囲気が漂う飯山線でこの駅へ来るのと、高架橋やトンネルを経てほくほく線でこの駅へ来るのでは、十日町市の印象が全く異なる。十日町では反対列車の待ち合わせで数分停車。直江津は上越妙高駅が新幹線の最寄り駅だが、十日町から首都圏を目指す場合は、今も昔も越後湯沢を使う。ここまではガラガラだったが、ここで越後湯沢から新幹線へ乗り換えるであろう乗客が乗り込んできて、車内は少し混雑した。
十日町駅は、飯山線のホームが1~3番線となっている一方、ほくほく線は11番線、12番線となっており、まるで新幹線のようなホームの番線の振り方になっている。11番線の隣には、通過線が一本あり、十日町を通過する特急列車はここを通過していた。現在は通過列車がないため、通過線は廃止されている。

十日町駅を出ると、右へカーブしながら、再び山へ向かっていく。車窓には2日前に走行した飯山線の線路が見えた。次のしんざは十日町市街に設置されている。その次の美佐島がほくほく線で一番面白い駅として知られる。美佐島駅は全長約10kmの赤倉トンネルの中に設置されている。地上にある駅舎から階段を使ってアクセスできる駅。こうした駅は土合駅や筒石駅など全国にいくつかあるので、レア度はそう高くない。しかし、美佐島駅が面白いのは、かつて160km/hという高速で特急列車が駆け抜けていたトンネルの中にホームがあるという点。高速で列車がトンネルに突入すると、風圧が凄まじいため、駅のホームと待合室の間には、分厚い鋼鉄製のドアが設置され、列車が停車した際のみホームへ入れるようになっている。YouTubeには特急列車が通過していた頃の動画が多数上がっている。トンネルの気圧の変化で、ビュービューという音が響き、不気味な音の通過メロディーが響き渡る。この駅の映像をはじめて見たときはまだ小学生くらいだったと思うが、不気味すぎて怖かったのを覚えている。そんな美佐島駅に停車すると、YouYubeで何度も見たあの鋼鉄製のドアが開き、乗客が1人乗り込んできた。

美佐島駅を発車して、さらに赤倉トンネルを進む。途中には赤倉信号場という信号場が設置されていたが、薬師峠信号場と同じく現在は休止されている。十日町-六日町間は現在途中の交換設備がない。赤倉トンネルを抜けると、もうそこは六日町。車窓には雪を積もらせた八海山をはじめとする越後三山が姿を現す。列車はトンネルを出てすぐに魚沼丘陵に停車。その後右へカーブしながら田園地帯を走り、最後に上越線と合流して六日町駅に到着した。

北越急行はここ六日町を拠点とする鉄道会社である。駅構内には車両基地があり、駅ホームは上越線のホームとは分離されている。駅の西口側の1面2線がほくほく線のりばである。この駅はほくほく線から上越線へ入る際、駅ホームの手前と奥の両方で転線が可能な造りになっている。特急はくたかは十日町側で転線し、JRののりばを通過していたが、普通列車はほくほく線のりばに停車したあと、越後湯沢側で転線する。

六日町を出ると、上越線に入る。列車は塩沢駅のみに停車。それ以外の上越国際スキー場前、大沢、石打は通過となる。徐々に標高を上げて越後湯沢へ近づく列車。車窓に見える山々にも至るところにスキー場やリゾートホテルが見える。最後に魚野川と並走すると、列車は終点の越後湯沢に到着。直江津からの所要時間は1時間32分だった。特急はくたかは同区間を45分ほどで駆け抜けたらしい。実際に乗車して、普通列車でも十分俊足だったと感じたので、特急はくたかはウサイン・ボルト級の超俊足だったことがよく分かった。
スキーリゾートの拠点、越後湯沢で折り返し

乗車していた普通列車は越後湯沢駅の0番線に到着した。この0番線はほくほく線直通列車専用となっている。越後湯沢は新幹線で通過したことはあったものの、降り立ったのは今回が初めてだった。上越線・上越新幹線はここから谷川連峰を貫くトンネルを通って関東平野へ向かっていく。冬の関東平野は日本海側からの湿った空気が谷川連峰に当たり、乾いた空気に変わるため、天気がいい日が多い。一方で、ここ越後湯沢周辺は、谷川連峰に当たった雲が大雪をもたらす。豪雪地帯として知られるこの周辺には多くのスキー場があり、国内屈指のスキーリゾート地となっている。

現在の越後湯沢の在来線ホームは2面4線。うち1線はほくほく線で降り立った行き止まりのホーム。それ以外の3線を上越線の列車が使う。3番線の隣にはもう1面ホームがあるが現在は使用されていない。北陸新幹線の金沢延伸開業以前に走っていた特急はくたかは、ここを起点とし、今走ってきたほくほく線を経由して富山・金沢へと向かっていた。さらに、かつては新潟方面への特急列車、北陸・東北方面への寝台特急なども発着していた。在来線ホームはとても長いが、それは長距離列車が駆け抜けていた頃の名残。現在、定期列車では4両編成が最長となっており、一部分しか使わない。

在来線側はひっそりとしていて人気がなかったが、改札を出ると新幹線を利用してこの駅に来たと思われる観光客で賑わっていた。駅前からは近くのスキー場やホテルへ向かう路線バスが発着している。ちょうど数日前に通った飯山線の森宮野原駅行のバスが発車しようとしていた。
越後湯沢は上越新幹線と上越線が乗り入れる駅だが、ここから支線が延びていて、支線を含めると合計3路線が乗り入れる駅となっている。支線というのは、駅の北側にあるJR東日本が運営するスキー場の玄関口ガーラ湯沢駅とを結ぶ路線のこと。スキーシーズンにのみ営業列車が走る支線で、上越新幹線と線路が繋がっている。この支線は、正式には在来線の上越線の支線という扱いになっており、ガーラ湯沢支線などと呼ばれている。乗りつぶしにおいては、このガーラ湯沢支線と、上越線の水上方面に乗車するためにもう一度訪れる必要がある駅となる。ガーラ湯沢支線は冬から春にかけての数か月しか営業していないため、この2区間には今冬か来春あたりに企画する予定の北関東の未乗路線を巡る旅で乗車したいと思っている。
上越線の普通列車で長岡へ

さて、関東まであと一歩のところまで来たが、今回は新潟空港から九州へ戻るので関東へは行かない。越後湯沢からは折り返して、上越線の普通列車で長岡へ向かった。乗車したのは水上始発の普通列車長岡行。今回の旅では3度目の乗車となるE129系2両編成での運転だった。長岡までの所要時間は1時間15分ほど。上越線の北部区間を乗りつぶしていく。
乗車記録 No.12
上越線 普通 長岡行
越後湯沢→長岡 E129系

越後湯沢駅を出た列車は、魚野川としばし並走し、次の石打駅へ。この石打駅はかつて、スキー客でとても賑わっていたそうで、かつてはこの駅を起終点とする首都圏方面への臨時列車の運行も行われていた。現在は無人駅となったこの駅だが、駅構内には車庫があり、このあたりで夜を明かす列車は、この車庫で一晩を過ごす。長岡方面からの最終列車は、越後湯沢を目前としたこの駅で終点となる列車があり、朝にはこの駅始発の新潟行きが設定されている。また、越後湯沢や越後中里を始発とする列車も、前日にはこの駅まで回送されてきて、車庫で停泊し、翌日改めて越後湯沢、越後中里へ回送される。雪深いこのあたりでは、一晩外で車両を停泊させると雪に埋もれてしまうので、そうしたリスクを回避するために、石打駅の車庫はとても重要な設備なのだろう。かつては特急はくたかに使用される683系も、この車庫に停泊していた。

石打駅を出た列車は、越後三山を眺めながら六日町に到着。ここで乗客の半数程度が入れ替わった。六日町を出て、さっき走ってきたほくほく線の線路が分かれていくと、五日町を経由して浦佐駅へ。上越新幹線も停車する大きな駅だが、人の乗り降りはまばらだった。ここもまた昭和のスキーブームの面影を残す駅として知られ、廃墟感のある駅構内は度々ネタにされている。
浦佐を出ると、列車はまもなく小出に到着。1日目に宿泊し、2日目に只見線の旅へ出たこの駅に35時間ぶりに帰ってきた。只見線のホームにはキハE120系が停車中。ここから越後川口までは1日目に乗車した区間となる。1日目はもう日が落ちていたので、車窓を眺めたのはこれが初めてだった。

越後堀之内、北堀之内と停車して、飯山線との接続駅越後川口に到着。1日目の飯山線の旅行記でも書いた通り、川口は現在は長岡市の一部となっており、列車は魚沼市→長岡市→小千谷市→長岡市と辿っていく。越後川口を出ると、車窓も徐々に開けていき、越後平野に到達する。その後は田園地帯を走り、左手から信越本線の線路が近づいてくると、上越線の下り線は信越本線をオーバーパスして宮内駅へと到着。宮内駅~長岡駅間は一駅だけ信越本線を進み、列車は終点の長岡駅に到着した。

列車は終点の長岡に到着。越後湯沢と同じく、この駅も今回初めて下車する駅だった。今回の在来線の旅はここで終了。ここからは新幹線に乗り換えて新潟へ戻る。上越線と上越新幹線の定期列車はこの時間、乗り換え時間がかなり長くなり、この駅では約50分の待ち合わせ。長岡で乗り換えるくらいなら越後湯沢や浦佐から新幹線を使えということなのだろう。上越線の普通列車は数分で新潟方面の普通列車と接続する。しかし、新潟へ着くのは約50分後に発車する新幹線の方が早い。長岡駅を訪れるのは今回が初めてだったので、50分の待ち時間で駅やその周辺の様子を見ていくことにした。

新潟県第二の都市である長岡市。人口は25万人ほどと多く、駅も都市の中心駅という貫禄がある。駅前には市街地が広がっている。長岡で有名なイベントといえばやはり花火大会。毎年100万人以上の人出となる長岡まつり大花火大会は、国内の花火大会でも有名な花火大会の一つ。開催時はこの駅も大賑わいとなり、新幹線も在来線も臨時列車が頻発。首都圏からの夜行臨時列車も設定される。
時刻は15時半。駅は学校帰りの高校生や小学生の姿が多く見られた。駅には駅ビルというほど大きくはないが、商業施設もあり時間を潰せる。駅前はバスターミナルにもなっていて、市内や近隣市町村への路線バスが多く発着している。1日目に訪れた飯山線沿線の十日町への路線バスもある。鉄道では朝の直通列車以外は基本越後川口で乗り換えが必要となる長岡-十日町間。路線バスにはどれくらいの人が乗っているのか気になる。越後湯沢から津南、十日町と経由してバスへ長岡へ出てくることも可能らしい。これもいつか挑戦してみたいバス乗り継ぎの旅である。
上越新幹線で新潟へ戻り、新潟空港から帰路に就く

長岡からは上越新幹線で新潟へ戻った。長岡-新潟間は在来線では1時間20分ほどかかるが、新幹線だとわずか20分ほどで着いてしまう。信越本線は新津を経由しやや遠回りで新潟を目指すが、新幹線はほぼ一直線に線路が敷かれており、最短経路で新潟市街へ向かう。あっという間でゆっくりしている暇もなかった。
乗車記録 No.13
上越新幹線 とき325系 新潟行
長岡→新潟 E7系

3日間の信濃・会津・越後のローカル線を巡る旅も、予定通り進み、新潟駅で旅の本体部分は終了となった。新潟駅は今も工事が進んでいて、旅行日の少し前には新しいバスターミナルが供用を開始していた。かつての新潟駅前のバスターミナルはスイッチバック式で、バックでバスが入ってくるスタイルだった。自分も一昨年の旅で一度だけこのバスターミナルを使う機会があったが、しっかり見ないままに廃止されてしまった。高架駅の下に設置された新しいバスターミナルは通り抜けるスタイルで、各方面へのバスのりばが並んでいる。駅舎とも直結しているので、以前のバスターミナルよりもかなり便利になった。新潟駅前の工事はまだ終わっておらず、駅前広場の工事が現在も行われている。次回新潟駅に来るときは、駅前広場も完成しているといいなと思いつつ、新潟駅から帰路に就いた。
乗車記録 No.14
新潟交通 新潟空港リムジンバス 新潟空港行
新潟駅→新潟空港

新潟駅からリムジンバスで新潟空港に移動。新潟空港のターミナルは、大きな国際空港のような風格でとてもかっこよく、ターミナル内もとても開放感のある造りだった。この空港は、国内線では伊丹、関空、新千歳、福岡、那覇、小牧、丘珠、仙台便が設定されている。新潟は首都圏とのアクセスは良好なものの、それ以外の地域への移動の利便性が高くない。そのため長距離移動には飛行機が使われている。最も便数の多い伊丹発着便はANA、JAL共に就航しており、LCCでもピーチが関空便を飛ばしている。
展望デッキへ入るには入場料が100円かかる。便数は多くないので、駐機場にもあまり飛行機の姿はないので、100円出す価値があるかと言われればよく分からない。今回はせっかくなので入ってみると、ちょうど夕暮れの時間で、日本海に沈む夕日が美しかった。駐機場にはトキエアのATR72-600の姿があった。トキエアは今年1月末に就航した新しい航空会社。新潟空港を拠点とし、現在は丘珠線と仙台線の2路線を運航している。こちらにも乗ってみたいところである。
新潟空港からはIBEXエアラインズの新潟-福岡線に搭乗して、九州へ戻った。北陸・関東甲信越から九州へ向かう空路は、今回が初めての利用だった。九州と甲信越というと、とても離れた場所というイメージだったのだが、新潟-福岡間の所要時間は1時間半ほど。ほんとに一瞬で九州へ戻ってきた感じがした。
終わりに
長野県、新潟県、福島県の3県でローカル線を中心に未乗路線を巡った今回の旅。一番の目的だった只見線は晴天に恵まれたこともあり、国内の鉄道路線でも随一の絶景を楽しむことができた。これまでいろんな路線に乗車してきたが、只見線の車窓はその中でも群を抜く美しさだった。ローカル線の旅は言い換えれば川と並走する旅でもある。只見線の只見川だけでなく、飯山線では千曲川・信濃川と、磐越西線では阿賀川・阿賀野川と並走した。どちらも雄大な川の車窓がとても美しく、特に磐越西線は只見線の車窓に負けず劣らずの美しさだった。
3日目は信越本線とほくほく線に乗車した。信越本線を走る特急しらゆきは、上越妙高で多くの乗客が北陸新幹線へ乗り換えており、新幹線リレー特急として活躍している姿を見ることができた。一方の北越急行はかつて特急街道として多くの特急列車が走り抜けてきた面影を残しつつ、ローカルな輸送に徹する姿が印象的だった。
観光としては長野で善光寺に、福島では会津地方をはじめて訪問し、会津若松城を観光した。善光寺は以前長野に訪れた際には訪れておらず、次長野へ行ったときには必ず行きたいと思っていた場所だった。一方、初めて訪れた会津若松は、正直事前の勉強不足だった部分があり、行ってから鶴ヶ城以外にもたくさんの観光地があることを知った。今後は今回訪れることができなかった観光地巡りもやってみたいと思っている。
次旅
東北地方・甲信越地方のその他旅行記
今回はじめて乗車した路線
【鉄道路線】
JR東日本 飯山線 豊野-越後川口間
JR東日本 只見線 小出-会津若松間
JR東日本 磐越西線 会津若松-新津間
JR東日本 羽越本線 新津-新発田間
JR東日本 信越本線 新潟-直江津間
北越急行 ほくほく線 犀潟-六日町
JR東日本 上越線 越後湯沢-宮内間
【バス路線】
長野市 中心市街地循環バスぐるりん号 長野駅-長野駅間 ※長電バス運行
会津バス まちなか周遊バスハイカラさん 若松駅前-若松駅前間
新潟交通 リムジンバス 新潟駅-新潟空港間
【航空路線】
IBEX 新潟空港-福岡空港