【旅行記】まだ見ぬ九州に出会う旅 沖永良部島・徳之島編〜J-AIR鹿児島-徳之島線に搭乗し、旅を終える〜
沖永良部島と徳之島を路線バスで巡る旅。最終日は島の南側を通る路線バスに乗車した後、犬の門蓋や花徳浜・里久浜を観光し、徳之島空港へと戻ってきた。ここからはJALの鹿児島行きに搭乗して徳之島を離れ、今回の旅を終える。
J-AIRが運航する鹿児島-徳之島で旅を締めくくる

平土野で「ユイの館」を見学した後、45分あまり歩いて徳之島空港に到着。これで今回の旅も、残すところ鹿児島へのフライトのみとなった。3日間を通して歩いた距離は合計45kmあまり。さすがに足は鉛のように重く感じられた。
空港のベンチに座ってしばらく休憩した後、土産物を見て回り、いくつか購入する。充実した3日間の旅。もうすぐ終わってしまうのが寂しいような、それでいてどこかほっとするような、不思議な感覚があった。名残惜しさからもう一度空港の外へ出て徳之島に別れを告げ、保安検査場を抜けて搭乗待合室へと向かった。
旅の締めくくりに搭乗するのは、17時40分発のJAL3796便・鹿児島行き。今回の旅は、1日目に鹿児島から沖永良部へ、2日目に沖永良部から徳之島へと飛んできたが、最後に徳之島から鹿児島へ飛ぶことで、このトライアングルコースを締めくくる。
今回搭乗するJALの鹿児島-徳之島線は、現在1日4往復の運航である。この路線は、JALグループの日本エアコミューター(JAC)とJ-AIRの2社が運航を担当している。3回連続でJACのATR機に搭乗するのも単調に感じられるため、最後はあえてJ-AIR運航便を選び、JACとは一味違った離島路線のフライトを楽しむことにした。

1日目に搭乗した鹿児島-沖永良部線をはじめ、鹿児島発着の離島便は、滑走路の長さなどの制約から基本的にJACのATR機で運航されている。しかし、大隅諸島・奄美群島の空港のうち、奄美・徳之島・種子島の3空港は滑走路長が2,000mあり、ジェット機の発着も可能である。
奄美は離島の中でも中核的な役割を担い、羽田や成田、伊丹などからの便も発着するため、ジェット機の運航も多い。一方、徳之島空港においても一部便はジェット機で運航されている。種子島では季節運航の伊丹-種子島線のみがジェット機で、チャーター便を除けば、日常的にジェット機が発着するのは奄美と徳之島の2空港ということになる。
徳之島に就航する便のうち、ジェット機で運航されるのは鹿児島線と季節運航の伊丹線の2路線である。ただし伊丹線は、お盆や年末年始など年間数日程度の運航に限られるため、平常時にジェット機が利用できるのは鹿児島線のみとなる。この鹿児島線も全便がジェット機ではなく、1日4往復のうち2往復がジェット機で運航され、伊丹空港を拠点とするJ-AIRが担当している。
鹿児島発着の離島路線でJ-AIRが就航しているのは、奄美と徳之島の2路線。いずれも一部便のみJ-AIRが担当し、その他はJACが運航している。ジェット機とターボプロップ機では飛行性能が異なるため、両者で所要時間もおよそ15分程度異なる。J-AIR担当便は通常、Embraer E170で運航されるが、機材繰りの関係でE190が使用されることもある。旅行日前後はJAC側で整備に伴う機材不足が発生していたため、通常JACが運航する一部便もJ-AIRに変更されていた。筆者が搭乗した一便前の鹿児島行きも、その影響でE190が使用されていたようだ。
なお、J-AIRは沖縄県内には就航しておらず、徳之島空港が最南端の就航地となっている。一方、最北端は女満別空港で、道東から奄美まで国内各地へ就航しているのが特徴である。基本的には中小規模の路線を担うが、宮崎・山口宇部・秋田-羽田線にも就航しており、羽田路線から離島路線まで幅広く活躍している(写真は過去に撮影した搭乗機)。

2社で運航される鹿児島-徳之島線。ターボプロップ機とジェット機という機種の違いが大きな特徴だが、それによって生じる最も大きな差の一つが所要時間である。JACのATR42-600・72-600と、J-AIRのEmbraer E170・E190では飛行性能が異なるため、所要時間にも差が生じる。例えば徳之島発鹿児島行きの場合、JAC便が1時間10分で設定されているのに対し、J-AIR担当便は55分と、1時間を切る。
前日はやや遅れていたようだが、この日は前便も定刻で到着。待合室で搭乗開始を待っていると、乗客も次第に増えてきた。出発15分前になると搭乗が始まり、徒歩で搭乗機へ向かう。E170はジェット機の中では小型の部類に入るが、間近で見るとやはり迫力がある。

機内へ入ると、JALの搭乗曲でおなじみの「I Will Be There with You」が流れている。JACでは離島便らしく島の民謡が搭乗曲に使われており、それもまた旅情を静かに演出してくれるが、この曲を耳にすると「JALに乗った」という実感がより強くなる。
搭乗はまもなく完了。この便の搭乗率はおよそ5割程度で、窓側にもちらほらと空席が見られた。搭乗自体は早めに終わったものの、この日は航空路の混雑に伴う管制指示により離陸時刻が指定されていたため、しばらくそのまま駐機。定刻をわずかに過ぎた頃、ようやく滑走路へ向けて動き始めた。
乗車(搭乗)記録 No.12
JAL3796便
徳之島空港→鹿児島空港
Embraer E170 ※J-AIR運航

ゆっくりと滑走路へ向かい、転回して待機する。指定時刻を待つ間、雨がぱらぱらと窓を濡らす。一方で、空港背後の山は夕日を受けてオレンジ色に染まっていた。その光景は、旅を終える寂しさと明日への活力が同居しているかのようにも思えた。やがて指定時刻となり、機体は滑走路へ進入。ターミナルを横目に、一気に加速して空へと舞い上がった。

徳之島空港を飛び立つと、島の北側の海岸線を眺めながら高度を上げていく。西日を浴びて輝く海岸線が美しい。島の北側には現在、定期運行の公共交通がわずかしかなく、今回は訪れることができなかった。その一方で、ヨマナビーチやムシロ瀬といった観光スポットも点在するエリアである。次にこの島を訪れた際には、今回行けなかった場所も巡ってみたい。
やがて島を機窓の後方へと見送る。この日は上空の気流も安定しており、離陸から数分後にはベルト着用サインが消灯した。機窓にはやがて、雲の合間から奄美大島が見え始めた。

この時間、奄美大島周辺には雲が多く、一瞬だけ姿を見せた島影も、ほどなく雲の奥へと隠れてしまった。その全景も見てみたかったが、それはまた次の楽しみに取っておくことにする。搭乗機は茜色に染まる雲を眺めながら、鹿児島へと向かう。
およそ50分前後のフライトとなる鹿児島-徳之島線では、飲み物のサービスは省略されている。その代わりに、機内では客室乗務員が飴を配布する。しばらくの間、その飴を口の中で転がしながら機窓を眺めていると、短距離路線ながら操縦室からのアナウンスが入り、15分後には降下を開始し、着陸の10分前にはシートベルト着用サインが点灯するとの案内があった。

しばらく海上を飛行する搭乗機。奄美大島から屋久島にかけては島も少なく、眼下には広がる海と、その中を航行する船の姿が見える。海の上に広がる雲は、まるで道東で見られる流氷のようにも思えた。奇しくもちょうど1年前、釧網本線の車窓から流氷を眺めた記憶がよみがえる。北へ向かうにつれて徐々に雲は薄くなり、海が見える範囲も広がっていった。

やがて遠くに屋久島が姿を現す。この時間、すでに地上は日の入りの時間であり、目を凝らさなければ島の輪郭を捉えるのは難しい。それでも、中央部の山々とそこにかかる雲だけがオレンジ色に染まり、美しい情景を見せていた。その向こうには種子島の姿も見える。
次に訪れるのは奄美大島にしようか、それとも屋久島や種子島にしようかと、そんなことを考える。いや、それはまだ早い。この旅を最後まで味わい、その余韻にしばらく浸ってから考えればよいことだ。次の目的地は、未来の自分に委ねることにする。

屋久島を過ぎたあたりで、搭乗機は鹿児島空港へ向けて高度を下げ始め、雲もやがて完全に消えた。種子島北端の喜志鹿崎が見え始めると、機体は大隅海峡上空を通過。ほどなくして九州本土最南端の佐多岬が姿を現す。どの方向から帰ってきても、九州の大地が見えると「帰ってきた」という安堵感が込み上げてくる。
かつて路線バスの旅でホテル佐多岬に宿泊した際、そこから種子島の島影を眺めたことを思い出す。空の上から見ると、その近さをより実感できる。現在はホテルも閉館し、路線バスもその先まで行かなくなってしまった大隅半島の先端部。九州本土に位置しながらも、鹿児島空港までの所要時間では与論島より遠いというのが、どこか不思議に感じられる。あの日、天候が悪く、佐多へ向かう道中が心細かったことも懐かしい。

しばらく大隅半島を眺めながら、あそこが根占、大根占だろうかと辿っていると、真下に街が広がった。搭乗機は薩摩半島上空へと差しかかり、眼下には指宿市街地や山川港が見える。街には街灯が灯り始め、車のライトが行き交う様子も確認できた。夕暮れとともに、鹿児島空港が近づいてくる。
鹿児島空港へのアプローチは、その時々の気象条件や運用方法、混雑状況によって異なるが、桜島の北側から鹿児島市街地上空を通るルートと、南側を回り込むルートの2通りがある。これは現在も活発に活動を続ける桜島の状況なども考慮されて決定される。今回は後者、桜島の南側を通るルートとなった。機窓には鹿屋市街地が見え、その奥には志布志の石油備蓄基地も確認できた。

何度か機体を傾けながら旋回し、いよいよ最終の着陸体制へと入る。ここから先は、どの方面からの便でも見慣れた光景となる。遠くに霧島連山を望み、国分・隼人の市街地上空を通過すると、突然山が迫り上がり、その先に滑走路が現れる、これが鹿児島空港の特徴的なアプローチである。やがて搭乗機は鹿児島空港に着陸。夕暮れの霧島連山を横目に減速し、駐機場へと向かっていく。
旅を終えて戻る空港で、飛行機が減速するこの瞬間は、いつも複雑な心境になる。旅をやり遂げた充実感、緊張から解き放たれる開放感と安堵感。そして、数ヶ月にわたって計画し実行してきた旅が終わってしまうことへの、わずかな寂しさ。終わってほしくないような、でも日常に戻りたいようなそんな思いが入り混じる。夕暮れの空は、その感情をより一層濃くしているように感じられた。

どのスポットに到着するのかと思っていると、機体はターミナル横を通過し、JACのATR機が駐機するエリアよりもさらに奥へと進んでいく。最終的に、貨物ターミナル前の17番スポットに到着した。現在、鹿児島空港ではボーディングブリッジの改修工事が行われている影響もあるのだろうが、ジェット機が沖止めとなるのはやや珍しい光景である。駐機場からはバスに乗り込み、ターミナルへと向かった。
ターミナルに到着し、階段を上がる。上がった先の10番搭乗口では、ちょうど羽田行きの搭乗が始まったところで、多くの乗客がゲート前で待機していた。到着便から乗り継ぐ乗客の姿も見られる。
この時間帯の鹿児島空港は、羽田や伊丹への便が相次いで発着する。そのため、搭乗と降機の動線が同じフロアには、多くの人が行き交っている。数日ぶりに感じる喧騒に、改めて日常へ戻ってきたことを実感し、名残惜しさを抱えながら出口へと向かう。
その後は時間があったため、展望デッキへ上がってみた。飛行機の撮影で訪れることも多いこの空港の展望デッキは、筆者にとってなじみ深い場所である。このデッキから飛び立つATR機を見送った回数は数え切れないが、いつの日か離島の旅に出たいと思っていた。今、その思いを現実のものとして、デッキに立っている。これからはATR機を見るたびに、今日という一日を思い出すのだろう。日が暮れた鹿児島空港にて、2泊3日の行程も無事に終了し、今回の旅を終えた。
おわりに

沖永良部島、徳之島を巡った初めての離島旅。飛行機と路線バスで2つの島を巡った今回の旅は、人の温かさに触れ、離島ならではの景色を眺め、そこに住む人たちの暮らしを垣間見ることができた、豊かな3日間だった。
まず、筆者の旅の中心である「乗り物旅」という観点から振り返ると、航空路線は鹿児島-沖永良部、沖永良部-徳之島、徳之島-鹿児島と、毎回異なる3路線を利用した。一つはJACが運航する離島便、一つはアイランドホッピングの一区間となる短距離路線、そして最後はJ-AIRが運航するジェット機便と、それぞれ異なる「離島便」の形を見ることができた。
中でも、全国第2位の短距離路線である沖永良部-徳之島間の約12分のフライトは、単に短いという点だけでなく、アイランドホッピング路線として多様な利用がなされている点でも非常に興味深かった。
次に路線バスについては、沖永良部島では沖永良部バス、徳之島では徳之島総合陸運の計5路線を利用した。いずれも初めて利用するバス会社であり、これまで各地で路線バスに乗ってきた筆者であっても、乗車前には多少の緊張と不安があった。
しかし実際には、運転士の方々が温かく接してくださり、時には乗り合わせた乗客と会話を交わす場面もあった。普段の旅ではなかなか触れることのない人の温かさを感じるとともに、集落を巡りながら走る車窓や、運転士と乗客のやり取りの中に、島の風土や文化を感じることができた。島において公共交通が必要とされ、大切にされている姿に出会えた、貴重な時間だったように思う。
乗り物旅と並行して、今回の旅は3日間で45kmを歩くという、筆者としてはよく歩いた旅でもあった。正直なところ、レンタカーの方が効率的であることは間違いない。しかし、時に島の北海岸から南海岸へ、時に市街地から離れた景勝地へと歩くことで、その土地の暮らしに触れ、そこに流れる時間や音の情景を体感することができる。それこそが、歩く旅の魅力なのだと感じた。
歩きながら出会った、サトウキビを刈り取る音、路上に居座る猫、こちらを見つめる牛、追い抜いていくフォークリフト、そして流れていく雲。そうした情景を一つひとつ味わい、非効率でありながらも丁寧に旅を重ねていったのが、今回の旅だった。
島は本土の春を先取りしたような暖かさに包まれ、心地よく旅することができた。それ以上に印象に残っているのは、人の温かさに触れたことだ。バスの運転士の方々、乗り合わせた乗客、声をかけてくださった方々、施設の館長、そして道中で挨拶を交わした人たち。旅を終えて感じるのは、そうした人々への感謝の気持ちである。
もともと会話が得意な方ではないため、普段の旅ではなるべく人と関わらずに済む手段を選ぶことが多い。しかし、今回の離島の旅は人とのふれあいの連続だった。最初は緊張していたものの、人の温かさに触れるうちに、いつの間にか心もほぐれていった。離島の旅をきっかけに、「人と出会う旅」の豊かさにも気付かされたように思う。
さて、コロナ禍の移動制限下で始めた九州再発見の旅。その流れを汲みつつ、新たな展開として「まだ見ぬ九州に出会う旅」と題した今回の旅。筆者の住む場所から見れば身近な鹿児島県の2つの島との出会いは、今後の人生においても深く刻まれていくことだろう。
まだ知らない場所、そして交通機関が、身近な九州にも数多く存在している。今後も折に触れて、「まだ見ぬ九州」を探す旅へ出かけたい。
次旅
その他の九州地方の旅行記
- 九州再発見シリーズ
今回初めて乗車した路線・区間
【航空路線】
JAL 鹿児島空港-沖永良部空港 (JAC運航)
JAL 沖永良部空港-徳之島空港 (JAC運航)
JAL 徳之島空港-鹿児島空港 (J-AIR運航)
【バス路線】
沖永良部バス 空港線 沖永良部空港-知名間
沖永良部バス 永嶺線 知名-和泊間
沖永良部バス ガジマル線 和泊-知名間
徳之島総合陸運 亀津-空港線 空港-亀津待合所間
徳之島総合陸運 亀津-犬田布-平土野線 亀津待合所-平土野停留所間